接触角とぬれ性とは
接触角とは、固体の上に落とした液体が形成する角度を指し、ぬれ性を評価する上での一つの指標となります。
ぬれ性は、液体や固体の界面でみられる現象です。ぬれ性の程度を判断する方法は複数ありますが、固体に液体を落として液滴を水平方向から観察することで簡単に判断できます。この場合、液滴が横に広がっていればぬれが良いと判断でき、逆に液滴が丸まっていればぬれが悪いと判断できます。
接触角計PGシリーズは、世界初のポータブル接触角計としてリリースされ、20年たちました。大きな設備を導入しなくとも、容易に測定できることをコンセプトに開発されましたが、現行機は、高価な卓上試験機と比較しても劣らない、高精度、高機能はもとより高品質、メンテナンス性も重視された設計になっております。
今では、接触角計評価があらゆる業界で認知され、測定対象物も様々です。表面に凹凸があるサンプル、シート状でない3次元成形品等、あらゆるアプリケーションで活用できます。
接触角とは、固体の上に落とした液体が形成する角度を指し、ぬれ性を評価する上での一つの指標となります。
接触角計評価があらゆる業界で認知され、測定対象物も様々です。表面に凹凸があるサンプル、シート状でない3次元成形品等、あらゆるアプリケーションで活用できます。
PGX+ | DAT | |
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用途 | 制限無し | 制限無し |
操作性 | 全自動測定(任意液滴体積形成、着液制御、液滴自動認識、接触角自動算出、液取り込み時間等) | 全自動測定(任意液滴体積形成、着液制御、液滴自動認識、接触角自動算出、液取り込み時間等) |
機能 | 静的接触角、動的接触角(経時変化)、表面張力、前進後退接触角(拡張収縮法)、表面自由エネルギー | 静的接触角、動的接触角(経時変化)、表面張力 |
特徴 | 小さいサンプルから、大きなサンプルまで、あらゆるサンプルの評価が可能です | 1000画像/1秒(マージ機能) |
評価対象 | 評価目的 | 評価方法 |
---|---|---|
ガラス・ウエハ・ プラスチック・金属 |
洗浄評価、表面改質(プラズマ、UV:エキシマ、低圧水銀ランプ、コロナ処理後の評価 | 接触角 |
塗料・インク・フィルム | 印刷適正、浸透性、ぬれ性 | 接触角経時変化/浸透速度 |
撥水剤・離型剤 | 撥水性 | 接触角 |
接着剤・コーティング | 接着性、コーティング性 | 表面自由エネルギー |
薬品・顔料・フィラー・錠剤 | 分散/浸透 | 体積経時変化/浸透速度 |
フィルム、不織布、紙、その他新素材(セパレーター、フィルター等) | 浸透 | 体積経時変化/浸透速度 |
紙、皮製品等の表面に粗さがあるサンプルで、画像補正が必要になり、測定結果出力までに手間がかかる。
凹凸があるサンプルで液滴以外の物がカメラに映りこみ、自動評価出来ない。
経時変化の接触角を測定した際の画像補正に手間がかかる。
カメラ内蔵 | 最大80画像/初期1秒 |
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データ解析ソフト | Windows 10 (64bit) 対応 |
本体サイズ | 9cmx5cmx8 m(接続ケーブル部除く) |
重量 | 450g |
測定項目 | 静的・動的接触角、ペンダントドロップ法による液体表面張力 |
自動滴下動作 | 静的測定滴下モード/動的測定滴下モード |
静的接触角 | 精度±1°、測定角2°以上(低接触角モード使用時) |
動的接触角 | 精度±1°経時での接触角の変化を評価。80画像/初期1秒、測定角10°以上 |
使用条件 | 室温40℃、湿度95%RH以下にて結露しない条件下で使用の事 |
測定したいサンプルを卓上型測定器にセット出来るよう小さく加工(破壊)し、研究施設に持ち込み評価していた。測定に費やす時間、労力が非常にかかる。
車のフロントガラス、テレビ用の大型ガラスの撥水特性を評価したいが、従来の卓上試験機で評価するには、試験台に乗せられるサイズにガラスを切り取る必要がある。この作業は非常に手間がかかり、特に製品の場合は、破壊を伴う為、損失が発生する。
大型のサンプルでも加工の必要なし。小型の試験機の為、現場に持ち込むことができるため、測定にかかる、費用、時間及び労力が大幅に削減。
試験台に乗せる為のサンプル加工(破壊)必要無し。評価したいサンプルの上に機器を置くだけ。
従来の卓上型の試験機では、測定が完了するまでに作業者の手作業が介在するため、測定データにバラツキが発生するケースがある。
測定に必要な作業である滴下する液量の調整、評価サンプルへの液の滴下、画像取り込みは、従来の卓上試験機では手作業で行われる。これらの調整は測定精度に影響する為、作業者の熟練度合により、データにバラツキが発生する。
測定ボタンを押すだけで、液の供給からデータ出力まで全自動。
滴下する液の形成、液の滴下動作、画像取り込み及び画像認識は、作業者の介入なく前自動で行われる為、測定条件は常に一定。測定結果のバラつき発生無し。
接触角とは?接触角計の基本的な仕組みや測定原理を解説
車のフロントガラスや雨具などの身近な製品の評価指標として使われる接触角。今回はそんな接触角について、接触角の概要や基本的な仕組み、測定方法など網羅的に解説します。
接触角とは、固体の上に落とした液体が形成する角度を指し、ぬれ性を評価する上での一つの指標となります。
ぬれ性は、液体や固体の界面でみられる現象です。ぬれ性の程度を判断する方法は複数ありますが、固体に液体を落として液滴を水平方向から観察することで簡単に判断できます。この場合、液滴が横に広がっていればぬれが良いと判断でき、逆に液滴が丸まっていればぬれが悪いと判断できます。
接触角は、固体と液体の表面張力及び界面張力で決まります。具体的には、液体と固体それぞれの表面張力γL、γSと、液体または固体間の界面張力γSLのバランスで接触角が決まります。これらのバランスは、イギリスの物理学者であるトマス・ヤングが提唱した式である「youngの式」として広く知られています。
γS=γL・ Cosθ+γSL (youngの式)
なお、表面張力とは、液面を縮めようとする力です。身近な力で例を挙げると、コップに縁のギリギリまで水を入れると一定量までであれば水面が浮き上がります。この力が「表面張力」です。
表面張力は力を長さで割ることで求められ、単位はmN/m(ミリニュートン毎メートル)です。
接触角を測定する簡単な方法は接触角計を用いる方法です。接触角計を用いる場合は、液滴に照明を当ててその反対側からカメラで捉え、画像解析することで接触角を計測します。
接触角計は、メーカーごとに仕組みが異なりますが、基本的にはカメラで捉えた画像をソフトウェアで解析する仕組みがほとんどです。画像解析した接触角の計算方法も製品ごとに異なりますが、前述したyoungの式を用いる製品が多い傾向にあります。
なお、株式会社マツボーでは手軽に接触角を測れるモバイル接触角計を販売しております。
接触角計をお探しの場合はぜひ弊社の製品をご利用ください。
ここまで接触角の概要を詳しく解説してきましたが、接触角はどのような目的で計算されるのでしょうか。ここからは、静的接触角と動的接触角それぞれの用途について見ていきましょう。
まず、表面層が1〜2nmである静的接触角の主な用途は以下の通りです。
・接着剤や塗料またはフィルムのぬれ性の数値化
・車のフロントガラスの評価
・紙や錠剤の浸透吸収性 など
次に、動的接触角の主な用途は以下の通りです。
・雨具やスポーツウェアなどの液除去性
・屋外に設置された太陽光パネルの評価
・インクやレジスト、塗料などのコーティング性 など
このように、接触角はさまざまな場面で活用されています。
接触角は静的接触角と動的接触角に分けられます。ここからは、静的接触角と動的接触角の違いについて見ていきましょう。
通常、接触角は固体表面上の液滴の端点が静止していると仮定して考えます。つまり、「接触角」のみ記載されている場合は静的接触角と捉えることが一般的です。
しかし、現実では液体の蒸発などの作用で液滴の形状は常に変化しており、静的接触角であっても完全に静止しているということはありません。静的接触角と動的接触角の区別としては、実際の測定値を参考にする場合は、着滴してから1秒後から数秒後の接触角を静的接触角として取り扱います。
また、動的接触角とは固体表面に液滴を落下させた上で固体表面を傾斜させ、液滴が表面を滑り落ちることを指します。
ここからは、静的接触角及び動的接触角それぞれの測定方法をご紹介します。
まずは、静的接触角の測定方法として最も有名な「θ/2法」をご紹介します。
「θ/2法」とは、液滴の端点から頂点を結んだ線が成す角をθ1とし、2倍することで接触角を求める測定方法です。接触角計を用いて計算する測定方法の一つで、昔から現在に至るまで長年使い続けられています。目盛りを用いれば直読でも簡単に計算できますが、コンピュータで解析すれば短時間で処理できます。
そんなθ/2法の計算式は以下の通りです。
θ=2×arctan h/r
なお、θ/2法の計算における「h」とは液体の高さ、「r」とは液滴の接触半径のことです。
静的接触角はθ/2法以外にも「接触法」で計測することも可能です。
接触法とは、液滴端点近辺を円とみなし、その円の接線と固体表面が成す角から接触角を求める測定手法です。
静的接触角の測定に用いられることが多いθ/2法は液滴の幅と高さから測定するため、左右の接触角をそれぞれ測定することはできません。つまり、液滴左右の接触角が異なる場合はθ/2法より接線法の方が正確な接触角が測定できます。
静的接触角の測定方法として最後にご紹介するのは「カーブフィッティング法」です。
カーブフィッティング法とは、液滴の輪郭を真円または楕円の一部とみなし、真円の端点における接触角を求める方法です。真円にも楕円にも使える測定方法で、接線法よりも多くの座標を用いて細かく測定するため、左右の接触角のばらつきを小さくすることができます。
カーブフィッティング法における楕円の方程式は以下の通りです。
(x -x0)^2/Rx^2+(y-y0)^2/Ry^2=1
なお、カーブフィッティング法の楕円の方程式におけるx0とy0は楕円の中心座標を表しており、RxとRyは楕円のX方向半径、Y方向半径のことです。
まずは、最も端的に測定できる「液滴法」を紹介します。液滴法とは、微小な液滴を滴下し、真横から撮影した画像から接触角を算出する方法です。なお、液適法は、1秒間あたり数十コマの速さで撮影した静止画を用いるため本質は静的接触角測定方法ですが、連続した変化を計測することから今回は動的接触角測定方法として取り扱います。
液滴法において、液量が小さい場合はθ/2法やカーブフィッティング法を用いることができますが、液量が大きくなる場合は楕円フィッティング法を用います。ただし、楕円フィッティング法で測定できる液量には限界があるため、フィッティング区間を狭くして近似精度を上げるなどの工夫が必要不可欠です。
次に、「拡張・収縮法」とは液滴の体積を増加または減少させ、経時的に接触角を測定する方法です。動的接触角には前進接触角と後退接触角の2種類がありますが、拡張・収縮法はどちらも測定できます。
ただし、拡張・収縮法を用いるためには、自動制御タイプのディスペンサーを用いなければなりません。なぜなら、測定の再現性を高める上で液体の吐出または吸引速度の条件を統一しなければならないからです。
なお、拡張・収縮法を用いて接触角を数値化する際は、接線法またはカーブフィッティング法を用います。
次に「滑落法」とは、固体表面を傾けて転落角や前進角または後退角を評価する方法のことで、「転落法」とも呼ばれる測定方法です。動的接触角は表面を傾斜させますが、傾斜させている間も画像を取得および解析することで前進角と後退角を得られます。
滑落法で測定するためには専用のハードウェアが必要です。しかしその分、液体の固体に対する滑りやすさや付着力といった、平面のみの測定では不可能なデータを得られます。
なお、滑落法を使って接触角を算出する場合は、接線法またはカーブフィッティング法を用います。
最後に「ウィルヘルミー法」とは、固体サンプルを液中に沈めて上下に移動させ、高さ位置ごとの濡れ荷重から動的接触角を算出する方法のことです。測定には測定子というプレートを用いることから、「プレート法」や「垂直板法」とも呼ばれています。
また、ウィルヘルミー法は吊り下げた固体試料を液体試料に接触させて、固体試料が引き込まれる力を測定することもできます。具体的には、固体試料が引き込まれる力は、その液体が持つ表面張力よりも小さいため、力の衰退と表面張力の関係を基に接触角を算出します。
株式会社マツボーでは、携帯式接触角計PG-X+を販売しております。携帯式接触角計PG-X+は、研究開発や品質管理等様々な用途で使用でき、マルチ言語ソフトウェアに対応している高機能の接触角計です。測定対象物の上に載せるだけで測定でき、測定にあたって製品にダメージを与える心配はありません。
高機能な接触角計をお探しの場合や自動評価できる接触角計をお探しの場合、測定結果出力までの手間を省きたい場合は、ぜひマツボーの携帯式接触角計PG-X+をご利用ください。